Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
と、老人はしずかに語り出した。「文化三、丙寅年の正月の末頃から江戸では槍突きという悪いことが流行りました。くらやみから槍を持った奴が不意に飛び出して来て、往来の人間をむやみに突くんです。突かれたものこそ実に災難で、即死するものも随分ありました。その下手人は判らずじまいで、いつか沙汰やみになってしまいましたが、文政八年の夏から秋へかけて再びそれが流行り出して、初代の清元延寿太夫も堀江町の和国橋の際で、駕籠の外から突かれて死にました。富本をぬけて一派を樹てたくらいの人ですから、誰かの妬みだろうという噂もありましたが、実はなんにも仔細はないので、やはりその槍突きに殺られてしまったんです。山の手には武家屋敷が多いせいか、そんな噂はあまりきこえませんで、主に下町をあらして歩いたんですが、なにしろ物騒ですから暗い晩などに外をあるくのは兢々もので、何時だしぬけに土手っ腹を抉られるか判らないというわけです。文化のころの落首にも『春の夜の闇はあぶなし槍梅の、わきこそ見えね人は突かるる』とか、又は『月よしと云えど月には突かぬなり、やみとは云えどやまぬ槍沙汰』などというのがありました。