Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
師匠は途中でこれからほかへ廻るから、おまえは先へ帰れといったので、小坊主はそのまま別れて来たのであった。
夜なかになっても住職は戻らないので、寺でも心配した。伴助は提灯を持って幾たびか途中まで迎いに出て行ったが、英善の姿はみえなかった。こうして不安の一夜を送った後、この寺から二町ほど距れた無総寺という寺のまえの大きい溝のなかに、英善によく似た者のすがたが発見された。それはあくる朝のことで、いつも早起きの無総寺の寺男が見つけ出したのであるが、溝にはまり込んで死んでいたのは、人間ではなかった。それは法衣や袈裟をつけている狐であった。寺男はびっくりして、ほかの人々にも報告したので、たちまちこのあたりの大騒ぎとなった。
袈裟や法衣をつけている者の正体はたしかに年経る狐に相違なかった。死体の傍には数珠も落ちていた。小さい折本の観音経も落ちていた。履物はどこにも見えなかったが、その袈裟と法衣と、数珠と経文と、それらの品々がことごとく時光寺の住職の持ち物に符合するばかりか、その経文の折本のうちには時光寺と明らかに書いてあるので、誰もそれをうたがうことは出来なかった。