Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
神田の半七は近所の葬式を見送って、谷中の或る寺まで行った。ゆう七ツ(午後四時)過ぎに寺を出て、ほかの会葬者よりも一と足さきにぶらぶら帰ってくると、秋の空はいよいよ暗くなった。寺の多い谷中のさびしい道には、木の葉が雨のように降っていた。まだ暮れ切らないのに、どこかの森のなかで狐の声がきこえた。半七はこのごろ世間の噂になっている時光寺の一件をふと思い出した。かれは町奉行付きで、寺社奉行の方には直接の係り合いはないのであるが、それでも自分の役目として、今度の奇怪な出来事に相当の注意を払っていた。
「無総寺というのはこの辺かしら」
そう思いながら歩いてくると、ある寺の土塀に沿うた大きい溝のふちに、ひとりの少年が腹這いになっているのを見た。少年は十三四歳の小坊主で、土のうえに俯伏しながら何か溝のなかの物を拾おうとしているらしかった。半七はそのまま通り過ぎようとして、なに心なくその寺の門を見あげると、門の額に無総寺と記してあったので、かれは俄かに立ちどまった。時光寺の住職に化けていた狐の死骸は、ここの大溝から発見されたというのである。その溝のふちに小坊主が腹這いになって何か探しているらしいのを、半七は見すごすことが出来なかった。