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Japanische Klassiker mit Furigana

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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(二)

岡本 綺堂

Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme

Aozora Bunko

それから順々に見てまわると、ほかの三人の墓の前にも今朝はなんの異状もなかった。

「こりゃあ、不思議だ。もう十日にもなるから、小女郎も堪忍してくれたかな」と、銀蔵はほっとしたように云った。

「きのうの朝はみんな倒してあったんだね」

「塔婆も花筒もみんな打っ倒してあったのを、わしが一々立て直したんですよ」

「むむ」と、長次郎は新らしい卒堵婆の一本に手をかけて、明るい日のひかりに透かして視た。かれは更に自分の足もとを見まわしながら云った。「お前、以前はずいぶん綺麗好きだったが、だんだんに年を取ったせいか、この頃はあんまり掃除が届かねえようだね。きのうここらを掃かねえのかね」

「きのうは葬式で、茶を沸かすやら、火を起すやら、わし一人でなかなかここらの掃除までは手が廻らなかったからねえ」と、銀蔵は笑っていた。

長次郎は落葉を踏みわけて、五人の墓の卒堵婆を一々見てあるいた。中にはそれを引きぬいて、打ち返してじっと眺めているのもあった。かれは草履の爪さきでうず高い落葉を蹴散らしながら、墓のまわりの湿った土の上をいつまでも見廻した。それが済んで引っ返そうとする時に、かれは隅の方に立っている小さい墓にふと眼をつけた。