Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.865 Zeichen · 432 Bildschirme
長次郎は無理に訊き出そうともしなかった。銀蔵おやじの強情なことをよく知っている彼は、ここで無益の詮議をするよりも、おこよの死についてはほかに幾らも探索の道があると思ったので、そのままに聞き流してこの寺を出た。
三
「おや、親分さん。いらっしゃいませ」
茶店の女房は愛想よく長次郎を迎えた。茶店といっても、この村はずれに荒物屋と駄菓子屋とを兼ねている小さい休み茶屋で、店の狭い土間には古びた床几が一脚すえてあった。女房がすぐに持ち出して来た煙草盆と駄菓子の盆とを前に置いて、長次郎は温い番茶を一杯のんだ。店の前には大きい榎が目じるしのように突っ立って、おあつらえ向きの日よけになっていた。時候の挨拶や、この出来秋の噂などが済んで、長次郎はやがてこんなことを云い出した。
「ねえ、おかみさん。御用でおれは時々こっちへも廻って来るが、もともとこの村の落穂を拾っている雀でねえから、土地の様子はあんまりよく知らねえ。なんでも先月の十五夜の晩に、おこよといういい娘が川へ陥って死んだというじゃあねえか」
「ほんとうにあの娘は可哀そうなことをしましたよ」と、女房は俄かに眼をしばたいた。