Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
財布には小出しの銭を入れて置いたに過ぎないので、その損害は知れたものであったが、娘ひとりの紛失が大問題である。未来の女房をうしなった為吉は蒼くなって騒いだが、どこを探すという的もなかった。取りあえず金右衛門を辻番所へ担ぎ込んで、近所の医者を呼んで手当てを加えると、傷は案外の浅手で一命にかかわるような事はあるまいと云うので、これはまず少しく安心した。
小僧は更に主人方へ注進したので、下総屋からは主人の茂兵衛と若い者二人が駈け付けて来て、手負いの金右衛門をひき取って帰ったが、おさんのゆくえは遂に知れなかった。おさんはことし十六で、色の小白い、いわゆる渋皮の剥けた娘であるから、昼間から付け狙っていて拐引したのであろうという説が多数を占めたが、しょせんは一種の想像にとどまって、その真相はわからなかった。
「半七。青山辺が又なんだか騒々しいそうだ。この前の唐人飴の係り合いもある。おまえが行って、なんとか埓を明けてくれ」と、八丁堀同心の坂部治助が云った。
「かしこまりました」
半七はすぐに子分の庄太を連れて青山へ出張った。云うまでもなく、この事件は六道の辻の若党殺しと、金右衛門親子の一件とが、殆ど同時におこったのである。