Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
わたくしは門前払いを喰っただけでしたが、寅吉は命を取られてしまいました。なにしろ寅吉が殺られてしまったので、千太はどうすることも出来ない。よんどころなく其処を逃げ出して、それからそれへと友達のところを転げ歩いていたんですが、どこでも係り合いを恐れて長くは泊めてくれない。そのうちに親方の清吉がわたくしの手に挙げられたという噂を聞いて、もう逃げ負せられないと覚悟したのでしょう。自分で尋常に名乗って出ましたが、吟味中に牢死しました」
「お信は清吉の女房の里に隠れていたんですか」
「お信は岸へ泳ぎ着いて、濡れた着物の始末をして、自分だけ助かったつもりにして屋敷へ帰る筈だったんですが……。それが俄かに気が変ったのは、船がいよいよ沈むという時に、お妾のお早がただ一言『信』と云って、怖い眼をして睨んだそうです。さては覚られたかと思うと、お信は急におそろしくなって、夢中で岸までは泳ぎ着きながらも、もう再び屋敷へ戻る気になれなくなったということです。暫く何処にか隠れていて、暗くなるのを待って下谷の稲荷町、すなわち清吉の女房の里へ尋ねて行って、そこに五、六日隠まって貰って、それから又こっそりと築地の三河屋へ戻って来て、その二階に忍んでいたんです。