Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
その額には犬という字が書いてあったよ」
「犬……」と、彼は更に顔の色を変えた。
半七は手をのばして、吾八の腕をつかんだ。
「さあ、正直にいえ。犬がどうした。犬と聞いて、貴様の顔色の変ったのがおかしいぞ。ハリソンの洋犬は貴様たちが殺したのか」
それには答えずに、吾八は声をふるわせて叫んだ。
「お願いでございます。先生のかたきを取ってください」
「そのかたきをとってやろうと思って、わざわざ江戸から出て来たのだ」と、半七は声をやわらげて諭すように云った。「おまえの先生はお角が殺したのだろう」
「お角です。きっとお角に相違ありません」
「おれもそうだろうと思っていた。こうなったら何もかも正直に云ってくれねえじゃあ困る。一体、先生とお角とはどうして心安くなったのだ。前からの知り合いかえ」
「前からの知り合いだと云っていますが、どうもそうじゃあ無いらしいのです」と、吾八は答えた。「去年の冬、わたくし共がここへ引っ越して来て間もなくの事です。先生は江戸へ写真を売りに行って、その帰り道でお角に逢って、一緒に連れ立って帰って来ました。それから当分は夫婦のように暮らしていて、正月になってからお角は又どこへか出て行きました。