Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
近所近辺の人々は寝ぼけ眼をこすりながら、われ先にと羅生門横町へ駈けつけると、彼等をおどろかす種がまた殖えた。
「あの腕は……。唐人飴屋だ」
往来に落ちていたのは男の左の腕で、着物の上から斬られたと見えて、その腕には筒袖が残っていた。筒袖は誰も見識っている唐人飴の衣裳である。疑問の唐人飴屋がここで何者にか腕を斬られたに相違ない。それに就いて又いろいろの噂が立った。
「あいつはいよいよ泥坊で、お武家の物でも剥ぎ取ろうとして斬られたのだ」
「いや、泥坊には相違ないが、仲間同士の喧嘩で腕を斬られたのだ」
いずれにしても、尋常の唐人飴屋が夜更けにここらを徘徊している筈がない。斬られた事情はどうであろうとも、彼が盗賊であることは疑うべくもない。たとい腕一本でも、それが人間のものである以上、犬や猫の死骸と同一には取り扱われないので、町でも訴え出での手続きをしている処へ、ひとりの男がふらりとはいって来た。
男は半七の子分の庄太であった。庄太は浅草の馬道に住んでいながら、その菩提寺は遠い百人町の海光寺であるので、きょうは親父の命日で朝から墓参に来ると、ここらには唐人飴の噂がいっぱいに拡がっていた。