Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
これは浅草寺内の出来事であるから、寺社奉行の係りである。それが他殺でなく、幽霊を見て恐怖のあまりに心臓を破って死んだというのでは、別に詮議の仕様もないので、事件は手軽に片付けられた。
さてその女の身許であるが、それも案外に早く判った。その当日、駿河屋の養子の信次郎も、商売用で浅草の花川戸まで出向いた。その帰り路で、幽霊の観世物小屋で見物の女が死んだという噂を聞いたが、自分の義母の身の上とは知らないで、そのままに照降町の店へ帰ると、日が暮れてから隠居所の女中が来て、御隠居さんがまだ帰らないという。朝から観音参詣に出て、夜に入るまで帰らないのは不思議であるというので、ともかくも店の若い者一人が小僧を連れて、あても無しに浅草観音の方角へ探しに出た。
それが出たあとで、若主人の信次郎はふとかの観世物小屋の噂を思い出した。もしやと思って、更に番頭と若い者を出してやると、その死人は果たして義母のお半であったので、早速に死体を引き取って帰った。それから三日ほどの後に、駿河屋では立派な葬式を営んだ。
今年の夏は残暑が軽くて、八月に入ると朝夕は涼風が吹いた。その八日の朝である。