Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
この一件は慶応元年の二月から三月にかけての出来事で、半七が小川町の歩兵屯所へ呼び出されたのは三月二十五日の朝であった。小隊長の根井善七郎は半七を面会所へ通した。
「世間の噂でおまえも大抵承知しているだろうが、どうも困ったことが出来た。一人や二人ならばともかくも、それからそれへと二十日ばかりの間に十一人も髷を切られた。こういう事は人騒がせで甚だ宜しくない。第一に世間の手前もある。猿だの、狐だの、豹だのと、いろいろの風説が伝えられているので、当方でも見付け次第に撃ち殺すつもりで、銃を持った者が毎晩交代で見廻っているが、獣らしい物の姿も見あたらない。罠をかけたが、それにも罹らない。こうなると、どうも獣の仕業でないらしく思われるので、きょうはお前を呼び出したのだが、なんとか一つ働いてみてくれまいか」
歩兵隊の者が片端から髷を切られたなどと云うことは、当人たちの不面目ばかりでなく、ひいては歩兵隊全部の面目にも関し、さらに公儀の御威光にもかかわる事であると、根井は云った。さなきだに余り評判のよくない歩兵隊であるから、こんな事が出来すると世間では尾鰭をつけていろいろの悪い噂を立てる。