Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(五) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 215.744 Zeichen · 434 Bildschirme
「薩州だろうの、長州だろうのと云っても、所詮は当て推量で、確かな証拠もないのですから、表向きの掛け合いも出来ず、この一件はうやむやに済んでしまいました。三田の薩摩屋敷には大勢の浪人が潜伏していて、とかくに市中を鬧がすので、とうとう市中取締りの酒井侯の討手がむかって、薩摩屋敷砲撃と相成ったのは、どなたも御存じのことでしょう。あの砲撃のために、芝の金杉、本芝、田町の辺はみんな焼けました」
「良住という坊主は、本当になんにも知らないんでしょうか」
「万華寺の関係から考えると、良住は鮎川の秘密を知っていそうに思われるのですが、本人はどうしても知らないと云い張っていました。これも吟味中に牢死という始末で、何もかもうやむや……。こんな事件もめずらしいのです」
云い終って、老人はまた思い出したように溜め息をついた。
「めずらしいと云えば、ここに少し不思議なお話があります。慶応三年十二月十三日、歩兵隊が吉原で喧嘩をはじめて、廓内の者や弥次馬に取り囲まれ、十幾人が半死半生の袋叩きに逢いました。そのなかには重傷で死んだものもありました。死んだのはみんな髪切りに出逢った連中だという噂で……。