Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
怪しい物音は自分の空耳でなかったことを確かめて、留吉は又もや独りで笑いながら、身を屈めてそこらあたりを見まわしたが、別にこれぞという物も見いだされなかった。
痛むからだを我慢して、さらに墓場の方へ行きかかる時、ふと見かえると住職の祐道が法衣すがたで自分のうしろに突っ立っていたので、留吉はすこし慌てながら挨拶すると、祐道はその蒼ざめた顔に笑みを含みながら云った。
「お痛み所はいかがですな」
「おかげさまで、よほど楽になりました」
「それは結構でござる。まあ、ご大切になさい。昨夜も申し上げた通り、わたしも風邪で引き籠って居りましたが、今朝はよんどころない法用で唯今から外出いたします。吉五郎どのが見えましたらば、宜しくお伝えください」
「行ってらっしゃい」と、留吉も丁寧に会釈した。
「では、御免」
祐道はそのまま立ち去った。そのうしろ姿が植え込みの八つ手の大きな葉かげに隠れるのを見送っているうちに、八つ手の葉が二、三枚新らしく折れているらしいのが留吉の眼についた。近寄って見ると、下葉は果たして折れていた。しかも何者かが無理に掴んで引き折ったらしく見えた。おそらく昨夜の格闘の際に、一方の相手が何かのはずみに下葉を掴んだのであろう。