Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
そう思いながら更に見まわすと、その折れかかった下葉の裏に白い糸屑が引っかかっていた。早朝に掃除をした者も、さすがにそこまでは気がつかなかったらしい。留吉はその糸屑をとって、朝のひかりに透かしてみると、糸の長さは四、五寸で、俗に菅糸という極めて細いものであった。
女の住んでいない寺中では、僧侶が針や鋏を持つことが無いとも云えない。その糸屑が庭さきに散っていたとて、さのみ怪しむにも足らないかも知れないが、留吉はゆうべの一件を思い合わせて、この糸屑にも何かの仔細があるらしく疑われたので、あたりを窺いながらそっと自分の袂に忍ばせた。
庭さきに余り長く徘徊していて、他の僧らに怪しまれては何かの邪魔であると思ったので、留吉は縁側に這いあがって、再び元の寝床の上に坐っていると、やがて小坊主が朝飯を運んで来て、きょうは起きられるかと訊いたので、どうにか起きられるようにはなったが、まだ手足の自由が利かないから、迎いの駕籠の来るまでは斯うして置いてくれと、留吉は頼んだ。小坊主はこころよく承知して、どうぞごゆっくりと答えて去った。
午に近い頃に、吉五郎は迎いの駕籠を吊らせて来て、納所坊主や寺男に礼を云って、留吉を受け取って出た。