Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
長三郎を撃ち損じた切っさきに、彼女は左の頸筋を斬られて、男の足もとに倒れた。
それと見て、長三郎も刀をぬいて身構えする間もなく、理右衛門は駈けよって、幸之助をうしろから抱きすくめた。
「抜き合わせてはならぬ。待て、待て」と、彼は長三郎に声をかけた。
半狂乱の幸之助は哮り狂って、抱かれている腕を振り放そうと燥っているところへ、二人の男がはいって来た。岡っ引の吉五郎と兼松である。
「今井の旦那様。それはわたくし共にお渡しを願います」と、吉五郎は十手を把り直しながら声をかけた。
「吉五郎か」と、理右衛門は猶も幸之助を抱きすくめながら耳に口をよせて云った。「幸之助、覚悟しろ。もう逃げる道はないぞ。侍らしく観念しろ。判ったか」
侍らしくという言葉に責められたのか、十手を持った二人が眼のまえに立ち塞がっているのに気怯れがしたのか、もう逃がれる道はないと諦めたのか、さすがの幸之助も俄かにおとなしくなって、持っている血刀をからりと投げ捨てて、理右衛門に抱かれたままで土の上に坐った。
「吉田の親たちに頼まれて、因果をふくめて腹を切らせようと思って来たのだが、もう遅かった」