Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
呶鳴り付けられても、彼はやはり騒ぎもせず、無言で門へ出て来ると、長三郎は引ったくるようにその手桶を受け取った。手桶に柄杓が添えてあるので、長三郎はその柄杓に水を汲んで、伝兵衛の口にそそぎ入れた。
「小父さん……小父さん……。しっかりして下さい」
伝兵衛は答えなかった。柄杓の水も喉へは通らないらしかった。それが当然であると思っているかのように、藤助は黙って眺めていた。
「仕方がない。寺へ連れ込んで、医者を呼ぼう」と、長三郎は柄杓を投げ捨てながら云った。
藤助はやはり無言で立っていた。どこかで梟の声がきこえた。
四
黒沼伝兵衛の死骸は寺内へ運び込まれた。とかくに落ち着き顔をしている火の番の藤助を追い立てるように指図して、長三郎は近所の医者を迎えにやった。近所といっても四、五丁距れているので、藤助は直ぐに帰って来ない。そのあいだに、寺僧も手伝って種々介抱に努めたが、伝兵衛の死骸は氷のように冷えて行くばかりであった。
「お気の毒なことでござるな」と、住職ももう諦めたように云った。
長三郎は無言で溜め息をついた。飛んだことになってしまったと、今夜の企てを今さら悔むような心持になった。