Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(六)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(六) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.831 Zeichen · 396 Bildschirme
足の早い二人が江戸川端をつたって小石川へ登った頃にも、秋の夕日はまだ紅く残っていた。高源寺は相当に広い寺で、花盛りの頃には定めし見事であったろうと思われる百日紅の大樹が門を掩っていた。
往来の人や近所の者が五、六人たたずんで内を覗いていたが、寺中はひっそりと鎮まっていた。門前の左手にある地蔵堂は、寺社方の注意か、寺の遠慮か、板戸や葭簀のような物を入口に立て廻して、堂内に立ち入ること無用の札を立ててあった。二人は立ち寄って戸の隙間から覗くと、石の地蔵はやはり薄暗いなかに立っていて、その足もとにはこおろぎの声が切れ切れにきこえた。
「はいって見ましょうか」と、亀吉は云った。
「ことわらねえでも構わねえ。はいってみよう。おめえは外に見張っていろ」
亀吉に張り番させて、半七はそこらを見まわすと、形ばかりに立て廻してある葭簀のあいだには、くぐり込むだけの隙間が容易に見いだされたので、彼は体を小さくして堂内に忍び込むと、こおろぎは俄かに啼き止んだ。試みに石像を揺すってみると、像は三尺あまりの高さではあるが、それには石の台座も付いているので、手軽にぐらぐら動きそうもなかった。