Japanische Klassiker mit Furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
男はひとりの若い供をつれていた。かれは三十五六の人品のよい男で、町人でもなく、さりとて普通の武家でもないらしい。寺侍にしては上品すぎる。あるいは観世とか金剛とかいうような能役者ではないかと、店の主人の孫十郎は鑑定していると、男は果たして店の片隅にかけてある生成の古い仮面に眼をつけた。それは一種の般若のような仮面である。かれは眼も放さずにその仮面を見つめていたが、やがて店のなかへ一と足ふみ込んで、そこにいる小僧の豊吉に声をかけた。
「あの面をちょいと見せて貰いたい」
「はい、はい」と、豊吉はすぐに起ってその仮面をおろして来た。
客の筋がわるくないとみて、孫十郎も起って出た。
「どうぞおかけ下さい。豊吉、お茶をあげろ」
男は仮面を手にとって、又しばらく眺めていた。よほど感に入ったらしい顔色である。ことし五十を二つ三つ越えて商売馴れている孫十郎は早くもそれを看て取った。
「それはなかなか古いものでございます。作は判りませんが、やはり出目あたりの筋でございましょうかと存じます」
「出目ではない」と、男はひとり言のように云った。「しかし同じ時代のものらしい。して、この価はどれほどかな」