Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Lesen Sie 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 217.272 Zeichen · 434 Bildschirme
「どうもちっとお高いのでございますが、お懸け引きのないところが二十五両で……」
男は別におどろいたような顔もしなかった。たとえそれが越前国の住人大野出目の名作でなくとも、これほどの仮面が二十五両というのは決して高くない。むしろ廉過ぎるくらいであるので、かれは少し疑うような眼をして、更にその仮面をうちかえして眺めていたが、やがてそれを下に置いて、小僧が汲んで来た茶をのみながら云った。
「では、二十五両でいいな」
「はい」と、孫十郎はかしらを下げた。
「ところで、御亭主。わたしは通りがかりでそれだけの金を持っていないから、手付けに三両の金をおいて行く。どうだろうな」
それは珍らしいことではないので、孫十郎はすぐに承知した。約束がきまって、男は三両の金を渡したので、孫十郎は仮請取をかいて渡した。帰るときに、男は念を押して云った。
「それでは明日の今時分にくる。云うまでもないことだが、余人に売ってくれるなよ」
売り買いの約束が出来て、すでに手付けの金を受け取った以上、もちろん他に売ろう筈はないので、孫十郎はその客のうしろ姿を見送ると、すぐに豊吉に云いつけて、その仮面を取りはずさせた。