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Japanische Klassiker mit Furigana

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くらがりのおとまつ

暗がりの乙松

山本 周五郎

Lesen Sie 暗がりの乙松 (くらがりのおとまつ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.992 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

「もうどうにもしようがねえだ、二人とも覚悟をきめてくれ、お秀、死んでくれ」

「おらも、いっそそのほうがいいだ」

妻は呻くように答えた。

「死ぬべえ、父つぁん、三人して死ぬべ、おらたちゃあ、こうなる運だっただ――ただ、可哀そうななあお絹だ、おらたちが死んだと聞いたら……」

「お秀――」

嘉兵衛は思わず妻の体を抱寄せた。堰を切ったように、夫婦は相擁して泣崩れた。

始終のようすを、杉林の中からじっと見戍っていた野火の三次は、次第に色も蒼白め、いつか全身をぶるぶると慄わせていたが、もう我慢ができぬというふうにきっと振返った。

「――親分」

「なんだ」

「一生のお願えだ、いまの、いまの金をあっしに返しておくんなさい」

「なんだ金を返せ?」

三次は思切った口調で云いだした。

「おらあたった今夢から覚めたんだ。今までおらあ盗みをしてきた、半分は欲だ、半分は自棄だ、また堅気のけちな米喰虫でつまらなく終るより、いっそ鼠小僧のような大盗人になって、わっと世間から騒がれて死にてえ……そんな見栄も手伝っていた。だがおらあ、今夜という今夜こそ、自分の仕事がどんなに酷いものかってえことを知った。