Japanische Klassiker mit Furigana
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あんこくせい
暗黒星
江戸川 乱歩
Lesen Sie 暗黒星 (あんこくせい) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.000 Zeichen · 188 Bildschirme
塔上の怪
「探偵というものは、そういうことも一応は疑ってみなくてはならない。僕は今あらゆるものを疑っている。君の家庭内の人たちだって決して例外ではないのだ。しかし、僕はまだ何も掴んでいない。安心したまえ、まさかそんなことはないだろうと思うよ」
明智の有本医師は強いて鈍感を装いながら、一郎青年をなぐさめようとした。
「ああ、やっぱりそうなんですね。先生も僕たち一家の誰かを疑っていらっしゃるのですね。誰です。それはいったい誰です」
一郎の顔は興奮のあまり泣き出しそうにゆがんで見えた。
「ばかな。僕がいつそんなことを言った。取り越し苦労もいい加減にしたまえ、さあ、一と眠りするんだ、そして、もっと明かるい気持になるんだ。睡眠剤を上げようか」
名探偵はまるで看護婦のようにやさしかった。一郎の毛布の肩の辺に手を置いて、母親のように子守歌でも歌い出しそうな様子に見えた。有本医師の一挙一動には、美しい負傷者へのこまやかな愛情が満ちあふれていた。
塔上の怪
しかし、一郎は眠ろうとはしなかった。眠らないばかりか、一そう大きな眼を見ひらいて、向こうのガラス窓のそとを見つめていた。何か物に憑かれたように、いつまでも同じところを見つめていた。