Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つきのまつやま

月の松山

山本 周五郎

Lesen Sie 月の松山 (つきのまつやま) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.451 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

と桂が云った、「西秋さまには罪はありません、桂が此処へ来て下さるように頼んだのです」

「家へお入りなさい」孝也が叫んだ。

「どうか聞いて下さい」泰二郎が云った、「貴方は誤解しているんです、密会なんてとんでもない、私たちはいま」

「西秋さま」と桂が遮った。

泰二郎は口をつぐんだ。それは云ってはならないことであった。孝也は黙って二人を見ていた。

ごく短いあいだではあったが、息苦しく気まずい沈黙が、三人の上にのしかかった。

「家へお入りなさい」孝也が桂に云った、「人に見られないうちにお入りなさい」

「いらしって下さい」泰二郎も桂に云った、「あとは大丈夫ですから、どうか」

桂は母屋のほうへ去った。四、五間ばかりゆくと泣きだしたようであるが、そのまま小走りに去っていった。桂が去ってしまうと、孝也も歩きだした。

「どうか誤解しないで下さい」泰二郎は孝也についてゆきながら云った、「お嬢さんはいうまでもないし、私がそんなことをする人間かどうか知っていらっしゃるでしょう」

「おれが知っているって」

「お願いです」泰二郎は云った、「夜こんな処で話していたのが悪かったんですが、わけがあってほかにしようがなかったんです」