Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つきのまつやま

月の松山

山本 周五郎

Lesen Sie 月の松山 (つきのまつやま) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.451 Zeichen · 41 Bildschirme

Aozora Bunko

かれらにも孝也の言葉は聞えたので、泰二郎がめくばせをすると、静かにそこから遠のいていった。

「おれの足を見ろ、右の足だ」孝也が云った、「どうしてか、という理由は、それだ」

「ああこれは、宗城さん」

「触るな、それは脱疽というのだ、おれはもうこのままでも、五十日とは生きられない躯なんだ」

「脱疽ですって、あの骨も肉も腐る、――」泰二郎は息をのんだ、「しかし、いつからです、いつからこんな病気にかかったのですか」

「そうと宣告されたのは二月だ」

泰二郎は「ああ」という眼をした。

「では――それで貴方は」

「おれはうまくやったと思う」

「宗城さん、それでですか」突然、泰二郎の声がふるえだした、「それで貴方はあんなふうにしたんですか」

「うまくやったと思わないか」

「それはひどい、あんまりだそれは、宗城さん」

「よく聞け」孝也が云った、「おれは死ぬ躯だ、持てるものは持ってゆかなくちゃならない、はっきり云えなくなった、――こうだ、おれが自分を醜くすれば、あとが美しく纒まる、あのひとの気持には、もうおれは残ってはいないだろう、西秋、――あのひとを頼む、茂庭のあとを頼む」

泰二郎の喉へ嗚咽がつきあげた。