Japanische Klassiker mit Furigana
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つきのせかいたんけんき
月世界探険記
海野 十三
Lesen Sie 月世界探険記 (つきのせかいたんけんき) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.351 Zeichen · 29 Bildschirme
に奇怪な異物を発見したためであった。その異物はたいへん小さい白い点であって、正体はまだ何物とも分らなかったけれど、とにかく今から五十四日前に突然現われた物であって、それは以前には決して見当らなかったものであった。そもそも月世界は空気もない死の世界で、そこには何者も棲んでいないものと信ぜられていた。だから「危難の海」に現われたこの小さい白点は、月世界の無人境説の上に、一抹の疑念を生んだ。
念のために、二百吋という世界一の大きな口径の望遠鏡をもつウイルソン山天文台に知らせて調べてもらった。しかしその天文台では、「何にも見えない」という返事をして来たのだった。そしてわが新宇宙艇が月世界探険にのぼる決心だと知るとたいへん愕いて、その暴挙をぜひ慎しむようにといくども勧告をしてきたのだった。それにもかかわらず、蜂谷艇長はじめ四人の乗組員の決心は固く、この探険を断念はしなかったのである。だがもしここに乗組員の一人である理学士天津ミドリ嬢が苦心の結果作りあげた世界に珍らしい電子望遠鏡という名の新型望遠鏡がなかったとしたら、そのときは或いはこの探険を思いとどまったかも知れないけれど……。