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Japanische Klassiker mit Furigana

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つきよのあとさき

月夜のあとさき

津村 信夫

Lesen Sie 月夜のあとさき (つきよのあとさき) von 津村 信夫 (つむらのぶお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.719 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

私が何と云う蕈かと尋ねると、これは楡の木に生えるものですと答えた。少し分けてくださいと頼むと、気持よく承知してくれた。

老婆がもう店を閉じるから、よかったら里まで御一緒に行きましょうかと云う。老婆の里と云うのは、戸隠中社のことである。

私が待っているからお婆さん早く支度をしなさいと云うと、品のいい顔立のその老婆は、いささかあざけるようにして云った。

「わしは足が早いからすぐに追いつきやす、一足さきにおいでなして」

老人のくせにと私は意外に思った。山路をものの十分と行かぬうちに、後の方で声がする。振り返って見ると、老婆は店の品物でも入れたらしい大きな風呂敷包を肩にして、飛ぶように歩いてくる。木曾地方で軽サンと云う袴、あの立つけ袴をはいて、思いなしか腰のあたりもすっくりのびたようである。

「随分早かったね」と云うと、「いいえ、年するとね」そう答えて一向に平気そうである。

店の番をしながら、暇をみて蕈を採る、採った蕈は中社まで持って帰り、あちらこちらの坊の厨房にわけてやるのだと云った。

越後の海も一度見たいね、だがそれよりも孫が長野で教員をしているから、その方に行ってみたい、善光寺に行くには、余程朝早く立たないとね、そう云って話しかける。