Japanische Klassiker mit Furigana
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ありしまたけおのしによせて
有島武郎の死によせて
宮本 百合子
Lesen Sie 有島武郎の死によせて (ありしまたけおのしによせて) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.052 Zeichen · 7 Bildschirme
芸術家の緊張、その弛緩の深さを知って居る自分は、大きい引潮の力を感じられる。
恋愛に面し、人によって、そとから、人生の明るい半面のみを感じ得る者、又消極のみを感じ得る者、消極を先ず見、後、そこを通して奇異な光明を認める者、等の差、類があるのではあるまいか。
彼の恋愛は、始めのものから、所謂不幸なものであったように思う。彼はその不幸のそこから、人生に徹し得ると云う求道的の歓によって光明を得て来た。
今度の恋愛は、彼の大きい一生上の一つの引潮に際し、不幸は以前に倍して大きいとなれば、常識の云う最大の不幸、「死」をとおして光明を感じたことを、認めない訳には行かない。
彼の死を、長谷川如是閑のように、理智と本能の争いの結果とも見得るし、内的の力の消長の潮流の工合とも見られるのだ。
自分にとって、波多野氏の方から誘惑したとかどうとか云うことは窮極の問題ではない。誘惑と云うものは、あって無いものだ。誘惑される主体さえ無ければ。
どっちが先に死の問題を持ち出したか、と云うことは、前の問題よりは重大だ。が、これとてもつきつめれば、何でもない。生活力の旺盛なものに、誰が死の話を持ちかける!