Japanische Klassiker mit Furigana
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ありしまたけおのしによせて
有島武郎の死によせて
宮本 百合子
Lesen Sie 有島武郎の死によせて (ありしまたけおのしによせて) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.052 Zeichen · 7 Bildschirme
彼には、一層、感傷的に行ったろうと思う。手紙をよこし、『有島さんのことで深く心を打れました。「自分は出来る丈の力で堪えて来た」と云う言葉は何と悲壮な、心持を充分表した言葉でしょう』と云う文句があった。彼には、堪える丈堪えたのだと云う自己に対する承認とともに万事を放擲した心境が、一種の感傷癖でなつかしく思われたのだろう。
又、彼のすばしこさで、この事件に対する世人の good will も分ったに違いない。彼の、「自分の決心は定って居る」と云うことに対する自分の merit は、一層、ましたと云うべきであろう。彼のそう云うことに対する不純さ。彼がすねて、其那ことをするのを見るに堪えない自分の心持。一方から云うと、彼が得々として善事をしたと思って居られるのが堪らない憎さ。
私達の心持も複雑に且つ恐ろしい関係にあると思う。
私は、有島氏の死が、どうか自分の浮々した、弱さに満ちた魂を守り力づけて、どんどん芸術家としての道に進ませてくれることを祈る。
私は、心の奥では彼を愛して居たと云ってよいだろう。それ故にこそ、彼より、芸術に於て*で、彼を死なせたものを、我筆に*え、活かし、価値づけて見たい。