Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
みいらのみみかざり
木乃伊の耳飾
国枝 史郎
Lesen Sie 木乃伊の耳飾 (みいらのみみかざり) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.905 Zeichen · 12 Bildschirme
大英博物館の宝庫から、古代埃及の耳飾が、一双忽然と失われてから、約一年を経過した時、仏蘭西巴里の交際社会の、女王と云われて栄華いている、モンタギュー卿の夫人の室で、斯う云う言葉が発せられた。そう云ったのは夫人であって、夫人の前の卓の上には、金剛石を鏤めた巨大の耳飾が一つだけ、燦然と置かれてあるのであった。そして夫人と相対して、一人の支那人が腰かけていた。これが耳飾の売人らしい。
「兎に角購買て置きましょう。金剛石一つだけ取り外して頸飾にしても立派ですわ」
支那人は恭しく一礼して、与えられた手形を懐中し、そのまま邸を退出した。
然るに同じ其頃に、支那上海に仮寓している清朝名残りの親王家の、東洋風の応接間で、同じような交渉が行われていた。
即、竹細工の卓の上には、一個の耳飾が置かれてある。その向うには親王家の最愛の妃として世間に知られた、蓮夫人が腰かけている。それに対して坐っているのは、仏蘭西人の宝石商。そして全く同じ言葉が、蓮夫人に依って発せられた。
「まあ素晴らしい耳飾! 幾万円出したって惜しくはない! けれどほんとに惜しいことね、一つしか無いじゃありませんか」