Japanische Klassiker mit Furigana
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こがらしのさかぐらから
木枯の酒倉から
Lesen Sie 木枯の酒倉から (こがらしのさかぐらから) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.163 Zeichen · 22 Bildschirme
ああ! 酒呑まぬ男は猿にかも似ていると、うまいことを言うもんだねえ。賢ら人は、いやだねえ、ゲジゲジを思わせるよ、君。
とわが友は暗澹たる顔をさらに深く曇らせてゲジゲジを払うもののように觴を振り廻すのだ。わが友は日本にたった一人の瑜伽行者だ。痩せさらぼうて樹下岩窟に苦行し百日千日の断食を常とするかの輩です。業成れば幻術の妙を極めて自在を得るところの、あれだ――が、俺の友達は酒樽の如く脂肪肥りの酔っ払いだ。呑んだくれの瑜伽行者もないもんじゃよ、君。
――余は断じて酒をやめるぞよ。と俺はその場で声明した。ひたすらに理性をみがき常に煩悶を反芻して、見よ煩悶の塊と化するぞよ。右も煩悶左も煩悶、前も後も煩悶じゃよ。目を開けば煩悶を見、物を思えば煩悶を思い、煩悶を忘れんとして煩悶に助けをかり、せっぱつまれば常に英雄の如くニタニタと笑いつつ、余は理性を鉾とし城として奮然死守攻撃し、やがて冷然として余の頭をも理性もてくびくくるであろう。見よ。
――余は断じて酒を止めるぞよ。
と俺は断乎として声明したのだが――まあ待ち給え。聖なる俺の決心を永遠ならしむるために、も一度立ち戻って事のいきさつに詩的情緒の環をかけさせて呉れ給え。