Japanische Klassiker mit Furigana
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みかいなふうけい
未開な風景
宮本 百合子
Lesen Sie 未開な風景 (みかいなふうけい) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.478 Zeichen · 16 Bildschirme
電車へお清を押し上げ、窓から歩道に向って頭を下げた彼女を乗せたままそれが動き出すと、油井はみのえを連れ、ぶらぶら歩き出した。
「ちょっと日比谷でも散歩して行きましょう、ね」
彼等は公園の池の汀に長い間いた。噴水が風の向のかわるにつれ、かなたに靡きこなたに動きして美しい眺めであった。低い鉄柵のかなたの街路を、黄色い乗合自動車、赤いキャップをかぶった自転車小僧、オートバイ、ひっきりなく駆け過るのが木間越しに見えた。電車の響もごうごうする。公園のペリカンは瘠せて頸の廻りの羽毛が赤むけになっていた。
ベンチのぐるりと並んだ花壇を抜け、彼等は常緑樹の繁った小径へ入った。どこまでも黙って歩いた。やがて竹藪の間へ来かかった。
「みのえちゃん」
彼を見上げた口の上へ油井はキスした。
○
二定点間ノ最短距離ハソノ二点ヲ結ブ線分ナリ。
然し、みのえはジグザグ裏通りの狭いところを通って、女学校の往きに、時々油井の家へよった。会社員である油井も、電車へ八時半に乗らねばならぬ。
「一緒に行かない?」
或る朝、みのえは赤い鞣皮の財布から五十銭出し、小さい一つの花束を買った。