Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みかいなふうけい

未開な風景

宮本 百合子

Lesen Sie 未開な風景 (みかいなふうけい) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.478 Zeichen · 16 Bildschirme

Aozora Bunko

桶屋の前で、みのえの小学校で体操を教えた教師に出会った。桃色のカーネーション、アスパラガス、紅毬薔薇。朝日のさす往来でパラフィン紙を透きとおす活々した花の色が、教師をひきつけた。彼は、みのえの方へ黒い詰襟服のカフスをのばし、

「それ、お呉れ」

と云った。驚いて、みのえは花束を後にかくした。

「いやかい?――誰にやるの」

「いいひと!」

みのえは憤ったように本気な力を入れてそれを云い、さっさと自分の道を歩き始めた。

すがすがしい朝の花束に、教師の息がかかったのをみのえは残念に思った。彼女は油井の玄関を開けた時、少し悲しそうに、

「これあげるわ」

と、その花束を出した。

○

みのえは光りもののうちに生活している。彼女の内の発光体の眩ゆさで自分も外界も見えぬ。

○

油井は、お清夫婦とみのえを誘って活動写真など見物に出かけた。

「もうこれから帰るの面倒くさくなっちゃった。泊めて下さい」

そう云う翌朝、みのえは白々明けに目を醒した。心臓がとび出しそうな心持で、油井の泊った二階へ登って行った。

「早いのね、もう起きたの」

油井も起きていて、彼等は並んで窓枠に腰かけた。