Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きぜんにむなしくすぐ
机前に空しく過ぐ
小川 未明
Lesen Sie 机前に空しく過ぐ (きぜんにむなしくすぐ) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.948 Zeichen · 4 Bildschirme
しかし、私は、四十の坂を越しました。自分は、常の如く、机の前に坐って、毎日同じようにペンを採っているうちに、いつしか、ひとりでに年を取ってしまったのでした。とは、いうもの、この間、街頭の響きから、人間との接触から、そこに感じられた複雑な人生の幾多の変遷と推移が、文壇の上にも、もしくは、他の社会の上にもあったことを考え出さずにはいられません。私自身にとっても、憧憬、煩悶、反抗、懐疑、信仰、いろ/\と、心の推移と、其の時代々々の思想と生活の異った有様とを顧みて、それ等をあり/\と目の前に描くことができます。
何といっても、私が最も、年齢について、悲哀を感じたのは、その三十の年を過ぐる時でありました。
「あゝ、もう青春も去ってしまったのか?」
四季について言えば、三十までは、春の日の光りの裡にまどろむ自然の如くでありました。柔らかな、香わしい風に吹かれる、若葉のように、うっとりとした時節でありました。たとえ、その光には、嚇々とした夏があり、楽しみの多き、また働き甲斐の多き、雄壮な人生が控えていたとはいえ。自分にとって最も、美しい幻の如く、若やかな、そして熱い血の胸に躍った、なやましい日のつゞいた、憧がれ心地に途をさ迷った、二十時代を送ることは、たとえ、当時は、私の、一番生活の逆境時代にあったにかゝわらず、尚この