Japanische Klassiker mit Furigana
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りりょう
李陵・山月記・弟子・名人伝
Lesen Sie 李陵・山月記・弟子・名人伝 (りりょう) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.013 Zeichen · 129 Bildschirme
とたんに空腹に気づいた。渠はそのへんを泳いでいた魚類を五、六尾手掴みにしてむしゃむしゃ頬張り、さて、腰に提げた瓢の酒を喇叭飲みにした。旨かった。ゴクリゴクリと渠は音を立てて飲んだ。瓢の底まで飲み干してしまうと、いい気持で歩き出した。
底の真砂の一つ一つがはっきり見分けられるほど明るかった。水草に沿うて、絶えず小さな水泡の列が水銀球のように光り、揺れながら昇って行く。ときどき渠の姿を見て逃出す小魚どもの腹が白く光っては青水藻の影に消える。悟浄はしだいに陶然としてきた。柄にもなく歌が唱いたくなり、すんでのことに、声を張上げるところだった。そのとき、ごく遠くの方で誰かの唱っているらしい声が耳にはいってきた。渠は立停まって耳をすました。その声は水の外から来るようでもあり、水底のどこか遠くから来るようでもある。低いけれども澄透った声でほそぼそと聞こえてくるその歌に耳を傾ければ、
江国春風吹不起
鷓鴣啼在深花裏
三級浪高魚化竜
痴人猶※夜塘水
どうやら、そんな文句のようでもある。悟浄はその場に腰を下ろして、なおもじっと聴入った。青白い月光に染まった透明な水の世界の中で、単調な歌声は、風に消えていく狩りの角笛の音のように、ほそぼそといつまでもひびいていた。