Japanische Klassiker mit Furigana
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りりょう
李陵・山月記・弟子・名人伝
Lesen Sie 李陵・山月記・弟子・名人伝 (りりょう) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.013 Zeichen · 129 Bildschirme
この男の中には常に火が燃えている。豊かな、激しい火が。その火はすぐにかたわらにいる者に移る。彼の言葉を聞いているうちに、自然にこちらも彼の信ずるとおりに信じないではいられなくなってくる。彼のかたわらにいるだけで、こちらまでが何か豊かな自信に充ちてくる。彼は火種。世界は彼のために用意された薪。世界は彼によって燃されるために在る。
我々にはなんの奇異もなく見える事柄も、悟空の眼から見ると、ことごとくすばらしい冒険の端緒だったり、彼の壮烈な活動を促す機縁だったりする。もともと意味を有った外の世界が彼の注意を惹くというよりは、むしろ、彼のほうで外の世界に一つ一つ意味を与えていくように思われる。彼の内なる火が、外の世界に空しく冷えたまま眠っている火薬に、いちいち点火していくのである。探偵の眼をもってそれらを探し出すのではなく、詩人の心をもって(恐ろしく荒っぽい詩人だが)彼に触れるすべてを温め、(ときに焦がす惧れもないではない。)そこから種々な思いがけない芽を出させ、実を結ばせるのだ。だから、渠・悟空の眼にとって平凡陳腐なものは何一つない。毎日早朝に起きると決まって彼は日の出を拝み、そして、はじめてそれを見る者のような驚嘆をもってその美に感じ入っている。