Japanische Klassiker mit Furigana
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むらいちょうあんないれのからかさ
村井長庵記名の傘
国枝 史郎
Lesen Sie 村井長庵記名の傘 (むらいちょうあんないれのからかさ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.794 Zeichen · 16 Bildschirme
「大きな事を吐きゃアがる。見せられなけりゃ見ねえまでよ。どれ俺らは行くとしよう」
「あれさ、気の早い坊さんだよ、ゆっくりしなんし、夜は深うざます」
「へ、へ、へ、へ、物も云えねえ。俺を止めてどうする気だ?」
「ふてえ分けを置いておいでよ」
「厭と云うたら何とする」
「厭とは云わせぬ手練手管……」
「ウヘエ、さては女郎だな」
「いやなお客に連れられて、二日がかりの島遊山、一人別れて通し駕籠、更けて恐ろし犬の声、それより恐い雲助に凄い文句で嚇されて、ビクビクガタガタ来かかったは、芝三角札の辻、刃の光に雲助ども、駕籠を飛ばせて逃げればこそ、往来中へおいてけぼり、見まいとしても見えるのは、人形歌舞伎の殺し場よりもっと惨酷い嬲り殺し。あんまり胆を潰したので、かえって今では度胸が据わり、草双紙で見た女賊の張本、瀧夜叉姫の相格を、つい気取っても見たくなり、呼び止めたはとんだ粹興、と云っても一旦止めたものをただで返すは女郎の恥、みんなとは云わぬ半金だけ、妾にくれて行きなましえ」
すっかり時代で嚇しかける。
「一両二両の端た金なら、テラ銭のつもりで置いても行こう、こう思っていた鼻先で、半金よこせは馬鹿な面め、坊主々々と安く見ても、名を明かされたら顫え出そう。