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Japanische Klassiker mit Furigana

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とうじょうき

東上記

寺田 寅彦

Lesen Sie 東上記 (とうじょうき) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.356 Zeichen · 17 Bildschirme

Aozora Bunko

これを過ぐれば左に鳰の海蒼くして漣※(「さんずい+猗」、第3水準1-87-6)水色縮緬を延べたらんごとく、遠山糢糊として水の果ても見えず。左に近く大津の町つらなりて、三井寺木立に見えかくれす。唐崎はあの辺かなど思えど身地を踏みし事なければ堅田も石山も粟津もすべて判らず。九つの歳父母に従うて東海道を下りし時こゝの水楼に魚の塩焼の骨と肉とが面白く離るゝを面白がりし事など思い出してはこの頃の吾なつかしく、父母の老い給いぬる今悲しかり。さては白湾子と共に名古屋に遊びし帰途伊勢を経て雪夜こゝに一夜を明かせし淋しさなどもさま/″\偲ばる。草津の姥が餅も昔のなじみなれば求めんと思ううち汽車出でたれば果さず。瀬田の長橋渡る人稀に、蘆荻いたずらに風に戦ぐを見る。江心白帆の一つ二つ。浅き汀に簾様のもの立て廻せるは漁りの業なるべし。百足山昔に変らず、田原藤太の名と共にいつまでも稚き耳に響きし事は忘れざるべし。湖上の景色見飽かざる間に彦根城いつしか後になり、胆吹山に綿雲這いて美濃路に入れば空は雨模様となる。大垣の商人らしき五十ばかりの男頻りに大垣の近況を語り関が原の戦を説く。