Japanische Klassiker mit Furigana
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とうきょうロマンティックれんあいき
東京ロマンティック恋愛記
吉行 エイスケ
Lesen Sie 東京ロマンティック恋愛記 (とうきょうロマンティックれんあいき) von 吉行 エイスケ (よしゆきえいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.002 Zeichen · 6 Bildschirme
浮舟のようにネオンサインにブルウスの曲目があらわれると、ジャズ・バンドが演奏を始めた。すると、恋を語るには千載に一遇のこの曲に立ちあがる男女、………そして、僕も立ちあがると、馴染みの踊子のアストラカンの裾を踏むようにして、
「――あの、栗鼠の毛皮の外套をつけた女を知ってる?」
すると、僕のパートナーは陽気な鼻声をだして、
「――………気に入った。」
「――………うん。」と、うなずくのを、踊りながら好色的な上眼づかいに見て、かの女は僕の背中にエピキュリアン同志のする暗号をつたえると、
「――お世話しましょうか?」と、小声で、そっと囁く。
「――たのむ。」
「――その御礼は?………………」
「――その、今月分の衣裳屋の仕払いを引うけるよ。」
すでに、かの女は栗鼠の毛皮をつけた女を囮りにして、
「――いいわ、こんどのワルツの曲のとき、あんた、あのレデーに申込むのよ。それまでに話しつけとくわ。……」
そして、ふたたびダンス場の桃色の迷宮のなかで僕は、嗄れ声のジャズ・シンガーの唱う恋歌に聞き惚れていた。
イタリアンとの混血児の上海からこの土地に稼ぎにやってきた踊子の鳩胸、その偉大な女性の耕作地にこだまするサキソフォンの反響、かの女は、いつも踊場に蜜月の旅をつづける。