Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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とうかいどうごじゅうさんつぎ

東海道五十三次

岡本 かの子

Lesen Sie 東海道五十三次 (とうかいどうごじゅうさんつぎ) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.849 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

帰らなきゃなるまい。いま、奥で一ぱい飲みながら考えていたところさ」

中老の男はじろじろ私を見るので主人は正直に私の身元を紹介した。中老の男は私には丁寧に

「自分も絵の端くれを描きますが、いや、その他、何やかや八百屋でして」

男はちょっと軒端から空を見上げたが

「どうだ、日もまだ丁度ぐらいだ。奥で僕と一ぱいやってかんかね。昼飯も食うてったらどうです」

と案内顔に奥へ入りかけた。主人は青年ながら家で父と晩酌を飲む口なので、私の顔をちょっと見た。私は作楽井というこの男の人なつかしそうな眼元を見ると、反対するのが悪いような気がしたので

「私は構いませんわ」と言った。

粗壁の田舎家の奥座敷で主人と中老の男の盃の献酬がはじまる。裏の障子を開けた外は重なった峯の岨が見開きになって、その間から遠州の平野が見晴せるのだろうが濃い霞が澱んでかかり、金色にやや透けているのは菜の花畑らしい。覗きに来る子供を叱りながらおかみさんが斡旋する。私はどこまで旧時代の底に沈ませられて行くか多少の不安と同時に、これより落着きようもない静な気分に魅せられて、傍で茹で卵など剥いていた。

「この間、島田で、大井川の川越しに使った蓮台を持ってる家を見付けた。