Japanische Klassiker mit Furigana
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とうかいどうごじゅうさんつぎ
東海道五十三次
岡本 かの子
Lesen Sie 東海道五十三次 (とうかいどうごじゅうさんつぎ) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.849 Zeichen · 28 Bildschirme
洋傘を振り腕を拡げて手に触れる熊笹を毟って行く。それは少年のような身軽さでもあり、自分の持地に入った園主のような気儘さでもある。そしてときどき私に
「いいでしょう、東海道は」
と同感を強いた。私は
「まあね」と答えるより仕方がなかった。
ふと、私は古典に浸る人間には、どこかその中からロマンチックなものを求める本能があるのではあるまいかなど考えた。あんまり突如として入った別天地に私は草臥れるのも忘れて、ただ、せっせと主人について歩いて行くうちどのくらいたったか、ここが峠だという展望のある平地へ出て、家が二三軒ある。
「十団子も小粒になりぬ秋の風という許六の句にあるその十団子を、もとこの辺で売ってたのだが」
主人はそう言いながら、一軒の駄菓子ものを並べて草鞋など吊ってある店先へ私を休ませた。
私たちがおかみさんの運んで来た渋茶を飲んでいると、古障子を開けて呉絽の羽織を着た中老の男が出て来て声をかけた。
「いよう、珍らしいところで逢った」
「や、作楽井さんか、まだこの辺にいたのかね。もっとも、さっき丸子では峠にかかっているとは聞いたが」
と主人は応える。
「坂の途中で、江尻へ忘れて来た仕事のこと思い出してさ。