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Japanische Klassiker mit Furigana

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ざくろ

柘榴

山本 周五郎

Lesen Sie 柘榴 (ざくろ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.342 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

真沙はこう云おうとしてふと口を噤んだ。理由はわからないが、なにか喉へ物でもつかえたようで、どうしても言葉にならなかったのである。その夜、真沙は初めて自分の結婚生活を回想した。夫婦生活に対する考え方は、既に十七歳の時のままではない。二十年ちかい年月のあいだには多くの事を識った。世間や人の心の裏おもて、生活を支える虚飾や真実、美しいものの蔭にある醜さ。……女が三十五という年齢で理解するものを、彼女も今は理解することができる。「自分は若すぎた――」真沙は胸の痛むような思いでそう呟いた。昌蔵のして呉れたことが、どんなに深い愛情から出たものであるか、それに対して自分がどういう酬い方をしたか、初めて真沙にはわかるように思った。

そのときから、彼女の心にひとつの世界がひらけた。人を訪ねると、無意識のうちにその夫妻の様子を見ている。そしてそのたびに、自分と良人との生活を思い返すのである。収入も家格も年齢もほぼ共通しているのに、五つの家庭があるとすれば、五組の夫婦はみな違った生活をしている。よそよそしいもの、睦まじいもの、派手なもの、質素なもの。どのひと組も他のものに似てはいない。