Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ざくろ

柘榴

山本 周五郎

Lesen Sie 柘榴 (ざくろ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.342 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「うちの柘榴は酸っぱくて喰べられないのだよ」

こう云った。どんなに吃驚したものだろう。伊助は殆んど台木からとび上り、柘榴は彼の手から落ちてころころと地面を転げた。

「ああ胆がつぶれました」伊助はあけびを採りながらも、幾たびか太息をついた。「こんなに驚いたことはございません。きっとはんぶん眠っていたのでございましょうが――」

八年いるあいだに、彼がそんなあからさまな自分をみせたのは初めてである。真沙も久方ぶりにずいぶん笑い、後になってからも、思いだしては可笑しくて頬笑まされた。

六

庭の樫を伐ることにきめたのは、後の月の十日ばかりまえだった。梢も伸び枝も張りすぎて、月を眺めるのに邪魔になる。去年もそう思ったのだが、つい気がすすまずに延ばしてあった。その話をすると「宜しかったら私が伐りましょう」こう云って、伊助はすぐ城下まで斧を買いにいった。

樫は根まわり五尺ばかりあった。伊助は休み休み一日いっぱい斧を振っていたが、二日めの午後にようやく半分くらい切込んだ。……真沙はそれを見にいってから、居間へ戻って手紙を書くために机に向った。亡くなった菊江の友で、城下の本伝という大きい商家の妻女が、この頃では最も親しく訪ねて呉れる。