Japanische Klassiker mit Furigana
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かき
柿
山本 周五郎
Lesen Sie 柿 (かき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.565 Zeichen · 25 Bildschirme
「子供が出来たのか」
「今年で三歳になる、……然も男子だ」
辰之助は蒼白めた額を垂れたまま、
「子の出来ぬうちなら、なんとか始末のしようもあったろうが、もう取返しはつかない、父はあの通りの性質だし、若し是が世評にでものぼったらどうなるかと、この三年というもの薄氷を踏む心持で暮して来た。……話というのはこの事だ、貴公に打明けたうえなんとか父に諒解を求めて貰おうと思って、幾度も口まで出かかったまま云いそびれていたのだ」
「相手の女は何者だ」
「以前家で召使っていた娘だ」
「召使などに、牧野、……貴公が、……」
兵馬は震えて来る拳を撫でながら、
「見損なったぞ牧野!」
と声を励まして云った。
「己は貴公を未来の国老だと思っていた、庄内藩に第一の人物だと思っていた、己ばかりじゃない、小房だって……そう信じていた、今だから云うが、己たちは、己も小房も、いつか貴公が求婚して呉れるものと思って待っていたんだ、否! なにも云うな、そう思ったのは己たち兄妹の眼が狂っていたんだろう、ばかな夢を見ていたのだ、然し……然しなあ牧野、人間は口に出してそれと云わなくとも、……心で、……眼の色で、人を殺すことがあるんだぞ」