Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かきのたね

柿の種

寺田 寅彦

Lesen Sie 柿の種 (かきのたね) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.202 Zeichen · 139 Bildschirme

Aozora Bunko

に縛り上げて、よれよれの縞の着物とたっつけ袴に草鞋がけといういでたちで、それにまっかな木綿の扱帯のようなもので襷がけをした、実に悲しくも滑稽にして颯爽たる風は今でも記憶に新たである。

なんでも蛇をかじって見せたり、うさぎの毛皮の一片を食いちぎって見せたりした。それからおしまいには大きなランプのホヤのこわれたのを取り出して、どんどんじゃんじゃんという物すごい囃子に合わせてそれを見物の前に振り回して見せたあとで、そのホヤのガラスの一片を前歯で噛み折りそれをくちびるの間に含んで前につき出し両手を広げて目をむき出し物すごいみえをきった。かけらがくちびるからひっこんだと見ると急に四股を踏むようなおおぎょうな身振りをしながらばりばりとそのガラスを噛み砕く音を立て始めた。赭ら顔がいっそう朱を注いだように赭くなって、むき出した眼玉が今にも飛び出すかと思われた。

噛み砕く音がだんだんに弱く細かくなって行った。やがて噛み砕いたものを呑み下したと思うと、大きな口をかっと開いて見物席の右から左へと顔をふり向けながら、口中にもはや何にも無いという証拠を見せるのであった。その時に山男の口中がほんとうに血のようにまっかであったように記憶している。