Japanische Klassiker mit Furigana
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かきのたね
柿の種
寺田 寅彦
Lesen Sie 柿の種 (かきのたね) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 70.202 Zeichen · 139 Bildschirme
しきりに言い訳をするTを気の毒とは思いながらも、私は愉快な、心からの笑い声が咽喉からせり上げて来るのを防ぎかねた。
貧しくてもにぎやかな家庭で、八人の兄弟の間に自由にほがらかに活溌に育って来たこの子の身の上を、これとは反対に実に静かでさびしかった自分の幼時の生活に思い比べて、少しうらやましいような気もするのであった。(大正十年一月、渋柿)
*
人殺しをした人々の魂が、毎年きまったある月のある日の夜中に墓の中から呼び出される。
そうして、めいめいの昔の犯罪の現場を見舞わせられる。
行きがけには、だれも彼も
「正当だ。おれのしたことは正当だ」
とつぶやきながら出かけて行く。
……しかし、帰りには、みんな
「悪かった。悪かった」
とつぶやきながら、めいめいの墓場へ帰って行くそうである。
私は、……人殺しだけはしないことにきめようと思う。(大正十年二月、渋柿)
*
彼はある日歯医者へ行って、奥歯を一本抜いてもらった。
舌の先でさわってみると、そこにできた空虚な空間が、自分の口腔全体に対して異常に大きく、不合理にだだっ広いもののように思われた。