Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かきいろのかみふうせん

柿色の紙風船

海野 十三

Lesen Sie 柿色の紙風船 (かきいろのかみふうせん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.032 Zeichen · 28 Bildschirme

Aozora Bunko

「おや、ここに寝ていた患者さんは?」

と林檎のように血色のいい看護婦が叫んだ。彼女の突っ立っている前には、一つの空ッぽの寝台があった。

「ねえ、あんた。知らない?」

彼女は、手近に居た青ン膨れの看護婦に訊いた。

「あーら、あたし知らないわよ」

といって編物の手を停めると、グシャグシャにシーツの乱れているその寝台の上を見た。

「あーら、本当だ。居ないわネ」

「ど、どこへ行ったんでしょうネ」

「ご不浄へ行ったんじゃないこと」

「ああ、ご不浄へネ。そうかしら……でも変ね。この方、ご不浄へ行っちゃいけないことになってんのよ」

「まあどうして?」

「どうしてといってネ、この方、つまり……あれなのよ、痔が悪いんでしょ。それでラジウムで灼いているんですわ。判るでしょう。つまり肛門にラジウムを差し込んであるんだから、ご不浄へは行っちゃいけないのよ」

「治療中だからなのねェ」

「それもそうだけれどサ、もし用を足している間に、下に落ちてしまうと、あのラジウムは小さいから、どこへ行ったか解らなくなる虞れがあるでしょう」

「そうね。ラジウムて随分高価いんでしょ」

「ええ。婦長さんが云ってたわ。