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Japanische Klassiker mit Furigana

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くわのきものがたり

桑の木物語

山本 周五郎

Lesen Sie 桑の木物語 (くわのきものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.815 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

「舟は危のうございますよ」

おつねがそう云ったときには、彼はもう土間から外へとびだしていた。――吉べえという若い船頭を呼びだし、舟を出させて向う河岸へいったまま、昼飯まで帰らなかった。そしてようやく帰ったときには、片方の眼のまわりを紫色に腫らし、頬ぺたに三条もひっ掻き傷ができていた。

「勝んべの野郎に貸しがあったんだよ」

彼は茶漬をかきこみながら云った。

「小梅にゃもう一人いるんだけど、逃げちゃって出て来やしねえ、こんだ瓦屋の熊んとこへいくんだ、喧嘩じゃねえよ観音さまで遊ぶんだ」

薬をつけてやる暇もなく、喰べ終ると箸を抛りだして出ていった。――虚木老は虚木老で深川あたりへでかけたらしい、三時すぎてから、いいきげんに酔って帰ったが、悠二郎はそれよりずっとおくれて、泥まみれになり、千切れた片袖をぶらぶらさせて帰って来た。

「その顔はどうしたんだ、冗談じゃない」さすがの虚木老も唸った、「――おれたちは聖堂へいったことになっているんだぞ、聖堂でおまえそんな、……冗談じゃない、だがまあ早く支度をしろ、帰りがすっかりおくれてしまった」

舟仙を出るとき、おみつが門口から顔を半分のぞかせて、にっと笑いながら云った。