Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらのみのじゅくするとき
桜の実の熟する時
島崎 藤村
Lesen Sie 桜の実の熟する時 (さくらのみのじゅくするとき) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.569 Zeichen · 222 Bildschirme
そればかりではない、高輪の学窓に身を置いた当座まで、あの貧しいジスレイリを羨むような心が、未来の政治的生涯を夢みるような心が自分の上に続いたことを思出した。
「青木君にもそういう時代があったかなあ」
と、捨吉は自分に言って見て、今では全く別の道を歩いているような青木の顔を眺めた。
ともかくも産後の細君は部屋に籠っている時でもあり、復た出直してゆっくり来ることにして菅と捨吉の二人はあまり長いこと邪魔すまいとした。その秋鎌倉へ行ったという青木の話なぞを聞いて、やがて二人は辞し去ろうとした。青木は鎌倉の方で得て来た詩想から、すべての秋の哀みを思って、何かそれを適当な形に盛って見たいと言っていた。
「まあ、いいじゃないか。もっと話して行ってくれたまえ」
と言って、青木は寺の外まで二人に随いて来た。
「狂になった女が毎晩この辺をうろうろする。なんでも君、貧に迫って自分の子供を殺したんだそうだ。僕はその話を按摩から聞いた……実際住んで見ると、いろいろなことが出て来るね……住み憂くない場所というものは全く少いものだね……」
こんな話をしながら青木は町の角までも随いて来た。