Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらのみのじゅくするとき
桜の実の熟する時
島崎 藤村
Lesen Sie 桜の実の熟する時 (さくらのみのじゅくするとき) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 111.569 Zeichen · 222 Bildschirme
二つある扉の入口から男女の信徒等が詰掛けて来た。その中に混って三四人の女学生が連立って入って来た。見ると捨吉が教えている生徒だ。名高い牧師の説教に後れまいとして急いで来たらしいその容子や、向うの腰掛と腰掛の間を人に会釈しつつ婦人席の方へ通ろうとする改ったようなその顔付は、捨吉の居るところからよく見えた。数ある若い人の中でも、語学の稽古を受けに来た最初の日からがっしりとした体格と力のある額つきの眼についた磯子という生徒が歩いて行った。その後から、あだかも姉に添う妹のようにして静かに歩いて行ったのが勝子という生徒だ。
勝子は二つある組の下級の生徒で、磯子よりは年少らしいが、でも捨吉と同じくらいの年頃に見えた。処女のさかりを思わせるようなその束ねた髪と、柔かでしかも豊かな肩のあたりの後姿とは、言いあらわしがたい女らしさを彼女に与えた。一学期の間の成績から押して見ると、いかなる学課も人に劣るまいとするような気象の勝った生徒ではないらしかった。どちらかと言えば学問は出来ない方だ。女としての末頼もしさと、無器用とが、彼女には殆んど同時にあった。
この生徒等は会堂にある風琴の近くに席を占めて、思い思いに短い黙祷をささげていた。