Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

そう言えば近づいて来る時の高城の姿は、ほとんどよろめくようだった。疲労の極にある人のような衰えが高城の表情に漲っていた。何か言おうとして、そして言葉にならなかった。頬がびくびくと痙攣した、涙の玉が瞼から離れて頬に一筋辷り落ちた。宇治は身構えた姿勢を次第に旧に戻しながら、鼻筋にふとつんと突き上げるものを感じていた。しかしそれも瞬間のことで、彼は変に不機嫌な表情を作り、そして床の上の男を振り返った。男が何か言ったのだ。

男は顔を彼等の方に向けて虚ろなまなざしを開いていた。唇が僅か動いて乾いた声で何かを言うらしい。何を言っているか判らない。声と言うよりは咽喉から吹いて来る風のような音であった。

「何を言っているのか聞いてやれ」

宇治は高城の方をむいてそう言い捨てると床から地面に飛び降りた。何気なくすらすらと口から出た。高城は一寸ためらったが、直ぐ床に登ると、男の枕許にしゃがみ首を曲げて耳を男の顔に近づけた。宇治はそのまますたすたと道の方に出て行った。

道の端にある倒れた木に腰を掛けて、刀に上体を支え眼を閉じた。そして高城が一旦戻りかけて又追って来た気持を考えた。