Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
宇治はぞっとして足を止めた。それは笑い声ではなかったのだ。押えたような嗚咽であった。次第に大きく乱れながらそれは号泣に変って行った。追われるように宇治は足どりを早めた。
時間は正午を遥か廻った。密林は行けども行けども果てしがなかった。疲労がそう感じさせるのかも知れなかった。食欲は全然なかった。ただ黙って歩いた。高城も腫れた瞼を伏せて黙々とついて来た。
何と無く妥協して高城を再びつれて来るようになった事、これが次第に不快な重みとなって宇治の胸を押しつけて来るらしかった。何故あの時叱咤して追い帰さなかったのか。背後に同じ調子でついて来る高城の重い足音を耳に止めながら、宇治は益々心が沈んで来た。
(何故俺はまるで囚人のように暗い気持になってしまうのだろう?)
逃亡ということが善いことか悪いことか、それは既に今朝来心の中で計量済みの事であった。それについて自分を責めることは無い。生き抜く事が正しいと思えばこそ此のような逃亡を断行したのだ。それなのに東海岸への足を阻もうとするのは何であろう。
突然、今まで意識のかげに隠そう隠そうと努力していたあるイメイジがはっきり浮び上って来た。